何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「おめでとう。華子。」

士導長がニッコリと笑い、華子に声をかけた。

「なーんだ。もう終わりか。」

しかし、華子は口を尖らせ、全く嬉しそうには見えない。

「ん?」

士導長がそんな華子の様子に、思わず眉間にシワを寄せた。
華子ならば、その知らせを聞いて飛んで喜ぶだろう。
そう思っていた士導長の思惑はくつがえされた。


————そう、妃に選ばれたのは華子だった。


「今日はもう遅い。天師教様へのご挨拶は、明日になるじゃろう。」
「はーい。」

華子はまた、どこかつまらなそうに返事をした。
そんな彼女の様子に、士導長は眉間のシワをまた増やした。


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