何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「京司!!」

ザ―
天音が石につまずき、地面に突っ伏した。
しかし、そのまま彼女は、起き上がろうとはしない。

「何もまだ、伝えてないのに…。」

涙でもう前が見えない。

「天音…。」

りんが悔しそうな顔で、天音の横にしゃがみ込み、彼女を見下ろした。

「私の決意も…何も…。」
「天音。わかってやってくれへんか…?」

りんはそっと天音の頭をなでた。彼女の表情は見なくても分かる。

「それから…。」
「…アイツもつらいんや…。」

りんは奥歯を強く噛みしめた。
京司がどんな思いで、一人ここを去って行ったのか…。
そんな彼の気持ちを考えるだけで、やるせない思いが込み上げてくる。
そして、天音のその震える声を聞けば聞くほど、その思いは、大きくなっていく。




「ありがとうも…。」







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