何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
カツカツカツ

その部屋には、京司の足音だけが響いていた。

カツ

ワ~ワ~

京司が足を止めると、バルコニーへと続くその部屋の大きな窓が開け放たれた。
外からは大きな歓声が聞こえる。

『京司。お前はこの国が好きか?』

バルコニーへと足を進める彼の頭には、そんな夢の言葉が頭をよぎった。

『荒れ狂うでしょうな。』

宰相の口にしたその言葉は、この国の腐敗を意味している。
天使教が居なければ成り立たないこの国はもはや…。

「…。」

(そんなの間違っている。それはわかっているのに…。)

カツカツ

京司がバルコニーへと歩を進めると、次第に歓声が大きくなる。
そして、彼のの耳には、民衆達の拍手も聞こえてきた。

(なんで拍手するんだ?)


その様子を京司は、まるで人ごとのように客観視していた。


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