何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「今日は顔見えるかな?」
やはり華子にとっては、演説の内容なんてどうでもよくて、顔を見る事が目的でしかないようだ。
華子のそのスタンスは、どこまで行ってもブレる事はない。
「またそれ?そんなに顔が気になるの?」
そして、星羅がその話題にあきあきしているのは、言うまでもない。
「もちろん!」
しかし華子の期待は、高まるばかりだ。
「…顔ねぇ…。」
星羅はやっぱり呆れて、相手にしていないようだ。
「だって、結婚する人なんだから!」
「…。」
華子はどこまでも本気だった。
どうやら、彼女は自分が妃になる可能性を、微塵も疑ってはいないようだ。