私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
この男、わかって言っているのか。
父は生家の姓を捨てて婿になったから『瀬川太一郎』だ。
そこまで鳴尾家におもねっている弁護士なんて信用出来ない。と、思う。
それなのに高村弁護士は、今日は何故か機嫌よく喋っている。
この前の仏頂面からは想像もできない爽やかな笑顔だ。
「はあ…。」
また、ため息が出た。
「今日、貴女のお祖母様の遺言状が正式に公開されますので…
大変でしょうが、諦めて下さい。」
「…高村さんには、大変だって認識があるんですね。」
「…………。」
高村は沈黙した。うっかり喋り過ぎたと思ったのだろう。
高円寺のマンションから2時間ちょとで軽井沢町に着いた。
そろそろ約束の期間、午後3時になる頃だ。