激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
一階が車庫で、煉瓦の階段を上がって二階にある一軒家。友人のデザイナーが彼をイメージして作ってくれたらしい。一階は彼の車とジープの二台が停まっている。
父親が亡くなった姪っ子のために、父親代わりに運動会やキャンプ等参加していたので、大きめの車も購入したらしい。
いつも手ぶらでは悪いので、今日は近所のオーガニックカフェの、ハーブチキンのサンドイッチと豆腐ハンバーグのロコモコ丼。
手料理が食べたいと言われたら、庶民的なものも作れるんだけど彼も料理するらしいので勝てる自信ないしなあ。
インターフォンを押して、今日はどう言い訳しようか考える。
毎日毎日、『トイレの砂を買ってきた』や『首輪を選んでみた』とか理由をつけて家に入っていたがネタ切れだ。
そもそも、昨日は喧嘩したんだった。
『せっかく俺たちの前に現れてくれたんだから『ハジメ』と名前をつけたい』
彼がそう名前の候補を譲らなかったんだ。
『見つけた時、モップみたいな見た目だったから『モップ』ちゃんがいい。だってこの子、女の子だし!』
私の意見と彼の意見は交わらず、対立したまま気まずげに終わった。
意外と彼も頑固なんだ。
「……出ない」
リビングには明かりがついていたのに、居ないのかな。貰った合鍵を赤面しながら鍵穴に差し込む。何度使っても照れくささは消えない。
「……宇柳さん?」
ドアを閉める音が部屋中に響く。