激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

 朝、眠そうな市役所の人を呼び出して、受け取ってもらったんだ。
 今から彼がステージでその報告を、きっと幸せそうにする。
 あと数十分後に私はきっといろんな人に祝福されながら幸せに笑っている。
 彼の隣で。

「ちょっと緊張してきた。三千人ってすごい人数なんだね」

 美麻と合流するには、スマホで連絡した方がいいかもしれない。
改めて会場を見渡す。会話が弾む声に吸収されて、私の声は誰にも聞かれていない。

「そういえばみどりちゃんも誘ったんだよね。来てるかな」
「来てるな。入籍の話に絶対卒倒するぞ」

ククッと笑いながらもワインを一気に飲み干して、悪戯を思いついた子供のように彼が笑う。
なので私も、口に手を当てて笑った。

「松永さんにも挨拶したいな。今日は傍にいないんだね」
「ああ、その件もあれだ。ビッフェのデザートの方を見て」
「あっ」

 みどりちゃんが松永さんの腕に抱き着いて、恋人のように寄り添っている。

「一目ぼれらしい」

 流石恋多き母親を持つみどりちゃん。
 でも松永さんは趣味がいい。身のこなしが上品だし、格好いいし大型犬みたいに可愛い。
 初恋は実らなかったけれど、今度の恋には全力のようだ。

「松永は苦笑しつつも、相手してくれているから。みどり傷つけるような奴じゃないので放置している」
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