激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「素敵です」
「そうだな。これからは守屋に任せるから頑張ってくれ」

 社長もご機嫌で、私も夢中で素材を頭に浮かべている。
 オーガニック素材などなるべく派手な香料は使わないでほしそう。
 今後の展開や打ち合わせ日を丁寧に話し合っていく。とんとん拍子で決まっていくが、まだ現実か疑わしい。

 地獄が待っていると思ったのに、本当に私は夢を見ているのではないの。
 机の下で手を摘まんでも、痛いだけだった。

 会議は一時間少しで終わり、彼が腕時計を見ながら立ち上がり、社長と談笑しながら会議室を出て行く。

「――じゃあ、また。あとこれ」

意味深な目配せと、名刺を見て息を飲んだ。
わざと裏側に見せて渡してきた名刺には、『今夜、迎えに行く』と電話番号と一緒に書かれていた。

「え、えっと」

いつの間に書いたのだろうか。それとも口説き文句として名刺にあらかじめ仕込んでいたのかな?

「っく」

呆然とする私の思いを読み取ったのか、親指でわざと文字を擦って渡してきた。
その文字が滲んでいく。――たった今、急いで書いたのだと暗に伝えたいらしい。
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