激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
そう思うのに、彼の指先から香る、彼の匂いに狂わされていく。
「俺の髪に触れば、思い出すかな。俺は宝石のように大事に触れたつもりだ」
思い出す――。
私と彼の、過去の接点?
恐る恐る手を伸ばす。自分から男の人に触れるのは、初めてだった。
指先からピリピリした電撃が私の全身に駆け巡る。
彼のその髪の触り心地は知っていた。
忘れられるはずもない。けれど、知っているのは、ハワイでの数日だけ。
食事をしようと連れて行かれたお店は、どこか懐かしい。
メニューを見て驚いた。あのハワイのホテルの中にあったステーキハウスと同じメニュー。
ここはハワイにもお店を出す有名店らしい。
目の前に移動式の鉄板が運び込まれ、ステーキを焼いてくれた。
目の前に料理人がいるので、深い話はできなくてすむ。
「お酒は?」
「いいです。一度、貴方に醜態を見せてるので」
首を振って、無難に水を頼むと苦笑された。
運転する彼ももちろん、ノンアルコールビールだった。
ステーキが妬き終り、お皿に盛られると料理人は鉄板ごと居なくなる。
私と彼の目の前には、ネオン輝くビル美しい夜景が広がっている。
「私、人を見る目がないと思うので、今は自分のスキルアップが必要と思ってます」
美味しそうなステーキを前に、辛気臭くて笑ってしまう。