激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「それに姉に目移りさせてしまうほど、私にもどこか悪い部分があったかもだし、こんなひねくれた性格とか」
「それはない」
手を掴まれて、彼は横に首を振った。
「君を見たのは、一年前だ。姉の結婚式で。覚えていないだろうが」
「え、ええ?」
本当に覚えていなかったので咄嗟に掴まれていた手を引くと、素直に彼も手を離した。
「姉は結婚式当日に、相手がうちの会社の財産目当てだと分かって式を中止したんだ。姉は控室で、泣き崩れて誰が慰めても立ち上がれる状態ではなかった」
「……えっ」
「そこで俺も声をかけたが、飲み物をぶつけられてしまった。手が付けられず、俺も家族もお手上げだった」
彼が教えてくれた話は壮絶だった。結婚後すぐに死別したお姉さんを支えて励ましてくれた人は、実家が多額の借金を抱えた工場で、お姉さんの財産を狙っているようなメールややりとりが発見された。お姉さんも結婚後はご実家に融資するつもりだったらしい。
漸く前を向いて歩けると思っていたお姉さんに起こった当日の悲劇。
結婚式場は幸せを皆で祝う場所ではあるが、バイトしていた二年間、確かに色々と不幸な場面もみたことがある。友人にご祝儀を盗まれたり、当日に新郎や新婦が来なかったり、
台風で出席者が来られず、半分以上席が埋まらなかったり。
私もバイトの経験から、結婚式は姉の入場を制限してもらおうか本気で考えたぐらい。スタッフでも対応できることは頑張って対応させてもらっていた。