白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 そして、私は必死に走っていた。
 こんなに必死に走る理由は分からないけど、必死に走ってその人に追いついた。

「あの! すみません!」

 くるりと振り返ったその人を見て、やっぱりそうだ、と息を吐いた。
 一度しか会ってないのに、通り過ぎた横顔だけでその人だと分かった。

「……え? 僕?」
「そう……」

 驚いた顔で、振り向いたその人は……
 プリンを譲ってくれたあの男性だ。

 今日は私服だったけど、なぜかその人だとすぐわかった。
 少し驚いた顔をした後、その男性は、「あぁ、一昨日の」と呟いて笑った。
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