白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「お名前も聞いていませんでした。お聞きしても?」
二人、コーヒーをもって、近くのベンチに腰を下ろす。やっぱり不思議とほっとする人だと思った。
「天橋といいます」
「僕は工藤といいます」
工藤さんがそう言って微笑み、私はついそれにつられて微笑んでいた。
その笑顔だけで、人を安心させるのは、やっぱり兄に似ているからだろうか?
「天橋さんは、プリンお好きなんですね」
「えぇ。私もですが……婚約者が好きで」
私が言うと、工藤さんは目を細めた。
「そうなんですね。いつご結婚される予定なんですか?」
「来週の予定です」
「そうですか! それはすみません、なら色々とお忙しい時期でしょう」
「いえ。先に入籍だけするんで……式はもっと後で」
私はそう言うと、下を向いてコーヒーに口をつけた。
「……ご結婚前にしては浮かない顔ですね?」
「そうですか?」
「もし何かお悩みなら、ここは一つ僕に相談してみませんか? 関係ない人の方が話しやすいだろうし、僕はこれでも口は堅い方なんです」
そう言うと、にこりと工藤さんは笑った。
(その顔、本当に……似てる)
私は思わず笑いだしていた。
「え?」
「あ、いえ……すみません。失礼でしたよね。工藤さん、やっぱり兄と似てるなぁと思って」
顔というより、雰囲気がとても似てる。