白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 その時、「ふたば?」と声をかけてきたのは、愛華さんだった。

「では、僕はこれで失礼します」

 工藤さんは言う。

「あ、あの、コーヒーごちそうさまでした」

 私が言うと、いいえ、と笑って工藤さんは行ってしまった。
 その背中を見送っていると、愛華さんが、
「今の誰?」と私の顔を覗く。

「うーん、プリンくれた人」
「随分、仲よさそうだったけど」
「会ったのも二回目だし、別に仲がいいって程じゃないですよ」

「……まぁ、恋人って感じではなかったわね」

 愛華さんはきっぱり言って少し考えると、
「でも、あの人、どこかで見たような気がするわ」と呟いた。
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