白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 そう思っていたら、晴信は目を細めて続けた。

「ほら、二人でお葬式行ったでしょ。その時、琥白、ふたばさんのこと特別気にしてそうだったから」
「あぁ……」

 そう言われてみれば、あの日は二人で行ったのだ。たくさんの弔問客がいたし、様子もおかしかったから、ふたばは覚えていないだろうけど……。
 ちなみに晴信はふたばには直接面識のない昌宗の友人だ。

 俺は頷いて続ける。

「調べてみたら、パリに月に一度は行っていて……現地の二人にかかわりのない人間には、まるでまだ昌宗が生きてるような口ぶりで、『兄に会いに来た』って言っていたらしい。実際に一人で話してるところも見てた人がいた」
「え、それ調べたの?」
「……悪いか。気になったんだ」

 口を曲げると、晴信は、そうか、と言って続けた。

「確か、ふたばさんは昌宗とパリに住んでたことがあるんだよね」
「あぁ」

 うーん、と言って晴信はテキーラのお代わりを頼んでから、

「僕は幽霊がいるかどうかは分からないけど、死を受け入れられずに、まだ生きてるように見えてるっていうのはよくある話……ではあるんだ。特に思い出の場所でね」

と言った。

「そうなのか?」
「うん。お葬式の日ね、ふたばさん、全然泣いてなかったでしょ。死を受け入れられていないのは確かだと思う。精神的に二人が寄り添って生きていたなら余計にそうだろうし」

 そうか……自分にはそういう『大事な人』がいた経験がないからわからないが、あの二人ならそうなのかもしれない、と思わせられた。
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