白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
 そしてもう一杯の温かいコーヒーカップを私に手渡し、それから私の前に立つと、まっすぐ私に頭を下げた。

「本当に申し訳ありません! 最初会ったの、ほら、プリン買った店で……あれは偶然じゃなかったんです。ふたばさんと直接会って話してみたくて」
「どういうことですか……? っていうか琥白さんの知り合いだったんですね……」

 私がつぶやくと工藤さんは困った様な笑みを浮かべて頷いた。

「僕は琥白の古い友人なんです。昔、琥白と同じテニスクラブにいて、琥白のペアで。その時、昌宗も同じクラブ通ってました」

 お兄ちゃんの通ってたテニスクラブ……。
 年代が違うから直接会ったことはないが聞いたことはある。琥白さんペアが異常に強すぎたんだ、と。

 人呼んで……。

「……最強サイボーグコンビ」

 私がつぶやくと、工藤さんは吹き出した。

「琥白は滅茶苦茶強かったしそういわれてましたけど……。でもね、サイボーグって琥白だけですよ!」

 その慌てぶりに私は思わず笑ってしまう。
 私が笑うのを見て、工藤さんはほっとしたように息を吐いた。
< 187 / 232 >

この作品をシェア

pagetop