白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「思い出したの。あの日のこと夢に見て」
「昌宗の、こと?」
私はこくんと頷く。夢に見たのはお兄ちゃんが事故にあった日のこと。
「あの日からずっと、何度考えても、同じとこ考えがめぐって。お兄ちゃん……私のために生きて、だから私のせいで余計にプレッシャーも大きかったと思う……」
「それは違う。昌宗は、ふたばがいたからやってこれた」
「……そんなの、琥白さんにわからない」
私は首を横に振って続ける。「お兄ちゃん、失踪してパリに行って……私にだけパリにいるから心配するなって連絡くれてた。でも一年後、パリで事故に巻き込まれた。私、もしかしたらお兄ちゃんが自分から巻き込まれたんじゃないかって……ずっとそんなことばっかり考えてた」
3年前にお兄ちゃんが失踪して、それから私にだけ連絡をくれた。
そしてその1年後、パリの街で兄は車の事故に巻き込まれて死んだのだ。
兄は自らそうなることを選んだんじゃないかって、ずっとそう考えるのが辛くて……。
「そんなとき、パリに行っておにいちゃんに会ったの。お兄ちゃん、本当は、私のことどう思ってたんだろう。恨んでたかなぁ……」