白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 二人でホテルに入ると、緊張する私を見て琥白さんは微笑み、レストランに食事にいこうか、と静かに告げた。

 その時、お腹がグゥ、と鳴り、すっかりお腹が減っていたことに気づく。


 それから、ホテルのレストランに行き、最初は美味しくてむしゃむしゃ食べていたくせに、メインディッシュになった途端、なぜか急に今夜のことを思い出して、私は料理の味が分からなくなった。

 覚悟はしていたつもりだけど、いよいよとなるとやっぱり緊張するみたいだ。


 静かになってきた私に琥白さんは苦笑して、

「ふたば? 今夜のこと、わかってる?」

 と小さく告げる。
 そう言われれば、さらに全身がカッと熱くなった。

「は、はいっ……!」

 私が何度も何度もこくこくと頷くと、琥白さんは微笑む。

「緊張しすぎ。これまでも触れて、少しは慣らしていただろ?」
「さ、さっきそれ思い出して、できるだけ考えないようにしてたのに!」
「考えてくれ」

 琥白さんは真剣な眼差しで、まっすぐ私を見て言う。

「他の日は、昌宗の事思い出すのはいいけどさ……。せめて俺と抱き合ってるときだけは俺の事だけ考えてくれないか」
「……はい」

 真剣な顔。その決意したような声に、私は頷いた。
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