白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 明け方、目を覚ますと、琥白さんが私を抱きしめたまま眠りもせずに起きていた。

「身体、大丈夫か?」

 そう問われて自分の身体に目線を落としてみれば、真っ赤なしるしが身体中に散っている。
 これまでもたくさんつけられたけど、今日はその比ではない。

 だけど、私はそれが恥ずかしくも嬉しくて、顔を上げて琥白さんを見つめると微笑んだ。

「大丈夫です」
「よかった」

 琥白さんはそう言うと、優しく髪を撫でる。
 それが心地よくて目を瞑ると、そのまま額にキスをされる。

 私は目を開け、琥白さんと額を合わせた。

「寝る時も起きた時も、いつもそばにいてくれましたね」
「あぁ。そうしたかったから。これからもずっとそうしたい」

 琥白さんはそう言って微笑む。
 その言葉に、私は琥白さんの胸に顔をうずめていた。

 琥白さんは私の背中に回した手に力を籠める。
 琥白さんのいい香りが鼻に、強い鼓動が耳に、届いた。


ーーー私は琥白さんのおかげで、この世にもっといい景色があると、もっと芳しい香りがあると……。知ることができた。
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