白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
そして琥白さんは顎に手を当てると、
「ふたばさん、もしかして怒ってます?」
と私の顔を覗き込む。
(これが怒らないでいられようか……)
そうは思うが、それもはっきり言える立場でないことも重々承知していた。
すると琥白さんは加える。
「もしかして一緒に住むの、嫌でしたか? 『結婚までにこの結婚話がなくなるわけでなければ』、一か月後には一緒に住むんですし、私は一緒に住める日をずっと楽しみにしていたんですけど」
「……っ」
その言葉に私は琥白さんを見る。
(いちいち、こちらの神経を逆なでするような発言はなんなの!?)
イライラした感情が止まらなくて、私は思わず怒った顔と声のまま、
「まさかっ。予定が一か月早まっただけですもんねっ。私も琥白さんと一日でも早く住めるなんて夢みたいですっ」
と言い放っていた。
(っていうか、いっそ全部夢であってください!)
すると、琥白さんはこらえきれない、といったように吹き出して、それから急にゲラゲラと笑いだした。
その様子を見て、私は自分の犯してしまった失敗に対する恥ずかしさと、何でもお見通しのような琥白さんに対する怒りの感情が入り混じっていた。