白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 昨晩、眠るときには、琥白さんはまだ仕事があるとリビングにいた。
 私は緊張して眠れるはずないと思いながら、広々としたこのベッドの中にいると、いつの間にか眠くなってぐっすり眠っていた。

ーーー思ったより自分の神経は図太かったようだ。


「『私からは』ふたばさんに触れていませんよ」

 琥白さんはそう意地悪に告げると、同じようにベッドの上に起き上がって私と向かい合うと、私を見た。

 私はそのまま、ベッドにこすりつけるように頭をつけると、
「申し訳ありませんでした! い、いつから抱き着いてました?」
と泣きそうになりながら問う。

「深夜に私がベッドに入ってすぐですね。そこからずっとです。正直に言って、男としての忍耐力が試されているのではないかとは思いました」
「本当に申し訳ありませんでしたっ!」

(いますぐチリとなって消えたい……!)

 あんなに散々『婚前交渉はしない』と言い張って、この状況。

 いくら琥白さんが最後までしないと言ったからって、これはあんまりだと思う。襲われても仕方ない。
 
 あぁ……自分で自分が情けなくなってきた……。
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