白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 私はその相手……藍沢愛華さんの腕を掴んで、その場に押しとどめた。

 愛華さんは相変わらず、柔らかな栗色の髪を綺麗に巻き、くりくりとした目にふんわりとした唇が並んでいるかわいらしい顔つきの女性だ。
 美しい身体のシルエットがよくわかるパステルカラーのシャツワンピースを着て、細い足に似合うエナメルのハイヒールを履いていた。

 たぶん10人の男性に聞いたら、まわりにいる人も含めた15人が、愛華さんを隣に連れて歩きたいと言うような女性である。

「まってくださいよ、愛華さん」
「ごめん。作戦も失敗したし」
「別に気にしてませんよ」

 私が言うと、愛華さんは少し考え、

「……じゃ、あなたが琥白とうまくいった?」
と、恐る恐る聞いてきた。

 私はその様子に、微笑んで、それから、
「私が琥白さんとうまくいくように思えます?」
と言う。

 すると愛華さんはフルフルと首を横に振った。
 愛華さんは、正直な人である。
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