白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
 私は息を吐くと、愛華さんの目を見て問う。

「聞きたかったんです。あの日、どうして失敗したのか。私には……琥白さんも愛華さんに対して悪い気持ちは持っていないと思ってました」
「でしょ。うん、私もそう思ってた。だから、『そんなに婚約破棄したいなら、私が琥白を誘惑して浮気させるわ』なんて提案したのよ」

 愛華さんははっきり言う。

「なら……」

 私が問おうとすると、愛華さんは目線を反らす。

「ごめん。詳しくは私の口からは言えないわ」
「もしかして琥白さんに何か口止めされてます? それとも他の理由ですか?」

 私が聞くと、愛華さんは「……ごめんなさい」と下を向いた。
 その様子に、私は急に申し訳なくなって、愛華さんの両手をそっと握った。

「謝らないでください。……こんな失礼な話、真剣に一緒に考えてくれて協力してくれたの愛華さんだけですから。だからすごく感謝してるんです」

 私が言うと、愛華さんは顔を上げ、いつも通りの表情に戻ると、眉を寄せて口を開く。

「あのねっ、誤解しないでほしいんだけど、私、別にあなたに協力したってわけじゃないわよ! 私は私のためにやったの。うちの会社だって、そうして檀田トラストとのつながりができるなら、そうしたかったし。それに私だって……」

 愛華さんが言葉を切って、少しして続けた。
「……ねぇ。ずっと不思議だったんだけど、あなたはなんで琥白と結婚したくないの? 琥白が相手じゃなくても、きっといつか政略結婚はするんでしょ。そうなら、相手は琥白が一番いいじゃない」

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