一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「ふーちゃんはそんなこと言わないもんなー。パパのこと大好きだもんなー」

 咲良さんに抱っこされていた楓花ちゃんが智秋さんの腕に移る。

 おとなしい子なのか、パパに顔を押し付けられてキスされても表情ひとつ変えずに目を瞬かせていた。

「咲良が怒るしこのぐらいにしておくよ。また夜にな」

「はい、また後ほど」

 夜になったら智秋さん一家と深冬のご両親に会う予定だ。

 海外を飛び回る忙しいご両親は、仕事が一段落した隙に私たちの旅行と日にちを合わせて帰国したという。

 智秋さんたちが部屋を出ると、深冬が大きな溜息をついた。

「この家に帰ってくると本当に疲れる。主に智秋のせいで」

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