一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 だから私たちコンシェルジュがお客様のどんな無茶振りを聞き入れ、各スタッフに伝えても文句は言われない。

「決めた。僕がここでお世話になっている間はきみにいろいろお願いしよう。よろしく、橘さん」

 私のネームプレートを見ながら言い、皐月さんが握手を求める。

「こちらこそ、皐月様が最高の時間を過ごせるよう心からお手伝いさせていただきます」

 握手に応えるも、困ったことになったと内心は戸惑っていた。



 それからというもの、彼はことあるごとに私を呼び出しては大小問わずさまざまな注文をつけた。

「次の予定まで暇なんだよね。ちょっと話し相手になってくれない?」

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