一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「社長命令でもお客様の意に沿わない接客はできません。だってそれがコンシェルジュだもの」

「だが、俺の妻だ」

 廊下からスタッフたちの足音と話し声が聞こえるが、深冬は気にも留めず私に口づける。

 広くはないリネン室に身じろぎする私の衣擦れと、キスに溺れる小さな声が響いた。

 皐月さんの対応で深冬との向き合い方は保留にせざるをえなかったが、こうして強引に向き合わされると胸の奥に秘めた欲求が疼きだす。

 この愛に応えるために私はどう自分を変えていけばいいのか。

 未来を信じるなら、もう少し私の方から彼に踏み込めばいいのだろうか?

「ここは職場だよ」

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