一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 あの頃よりももっと深く狂おしいほどの愛情。今まで抱いていた愛が浅かったというわけではないのに、まだこんなにも底があるのかと信じられない気持ちになった。

「杏香。……杏香」

 私を恋い慕う深冬の声が終わりを見せない口づけの合間に響いて心をくすぐる。

 私だって彼の名前を呼んで抱き締めたいのに、唇は塞がれているし、手も彼に繋がれているし、したいことをさせてもらえない。

「……ん」

 どうしても手を離したくなかったのか、深冬は器用にも自身の唇で私の服のボタンを外した。

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