一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 自分以上に私を優先するようなとても甘い人でも、こういう時は意地悪になるのか全然聞き入れてくれない。

 思えば十年前の初体験もそうだったような気がした。

「ほん、とに……それ以上は……」

 ぎゅうときつく目を閉じて彼が与える喜びから逃げようと身をよじる。

 私の男性経験が一回しかないと知っているはずなのに、まったく容赦してくれない。

 追い立てられて焦る心は次第に痺れ、もっともっとと深冬の行為をねだった。

「やあ、あっ……深冬、みふ……ゆっ……」

 やめてともやめないでとも言えなくなって名前を呼ぶと、もうすぐで弾けそうだった意識がふっと現実に引き戻された。

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