一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 顔を上げた深冬が膝立ちになって私を見下ろしている。

「俺を、欲しいと言ってくれ」

 押し殺した声はかすれてひどく色っぽい。

「いつも俺ばかりお前を求めているだろう。だから」

「そんなことない……」

 彼のせいで荒くなった呼吸を整える余裕もないまま、誤解を解こうと口を開く。

「私だって……ずっとあなたが欲しかったよ」

 小さく息を呑んだ深冬の背に震える手を伸ばして抱き寄せる。

 彼の興奮を表しているのか、既にしっとりと汗を滲ませている肌に手が吸い付いた。

「きて、深冬。あなたしかいらない」

 彼がくれた言葉と同じものを返すと、深冬はくっと喉の奥で微かな音を漏らした。

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