片恋
延藤くんの背中を見送って、私たちはふたりで屋上の扉を開けた。

騒がしかった教室や廊下と違って、学校の中で、ここだけは違う空間のように感じる。


優しく撫でる風。

放課後になっても、高く降り注ぐ陽射し。

遠くで聞こえる、グラウンドの声。


「伊月くんと屋上に来るの、久しぶりだね」


いつぶりなのかな。

昼休みに、一緒にいて以来になる。

多分、そんなに日にちは経っていないのだろうけど、ずいぶん前のことのように感じる。


「というか、ふたりきりになるのが久しぶりだよね」


自分で言って、色んな感情が押し寄せてきて、語尾が涙声になってしまった。
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