片恋
「そういえば、屋上で歌ってくれた曲、動画サイトに上げてないんだね」


伊月くんが作ったナデシコの歌は、いつでも好きな時に聴いていたいんだけどな。

……なんて、ぜいたくなことを思ってみたり。


「あんなの、他の人には聴かせられないよ」

「えっ、どうして? 私、あの曲すごく好きだよ。今までのナデシコの曲で、一番好き」


片耳から流れる曲を聴きながら、ナデシコへの愛を力説する。

これだから、延藤くんにガチ勢って呼ばれちゃうんだろうけど。

伊月くんは少し気まずそうに目をそらしたあと、やわらかく笑った。


「真桜がそう言うなら、それだけで充分」
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