エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「あの……これを」


私は、両手の指で持った名刺を、まるで賞状を授与するかのように差し出した。
純平さんはわずかに顎を引き、目線だけ名刺に落として、


「なんだ? これは」


不審そうに問いかけてくる。
意味不明な緊張が込み上げてきて、私はゴクッと唾を飲んだ。


「昨日、私が一緒にいた同期の名刺です。純平さんに、渡してほしいと言われて」

「同期?」


純平さんが、ピクリと眉を動かす。


「もしかして……情報提供者か?」

「え?」


突然勢いよく立ち上がった彼を、私は戸惑って見上げた。


「お前が男に尾け回されていたことを知っていて、彼女も実際に見ているとか」


純平さんは、私の手から名刺を摘まみ、目の高さに掲げる。


「い、いえっ」


質問の意図を理解して、私は弾かれたように首を横に振った。


「あれは、まだ桃子と友達になる前のことで、話してません」


万が一、桃子まで巻き込まれたりしたら大変。
慌てて、早口で否定した。


「なんだ、そうか」


純平さんは、わかりやすく期待外れといった顔をして、ストンとチェアに腰を戻す。


「それじゃあ、この名刺はなんだ?」


人差し指と中指で名刺を挟み、私に視線を投げた。
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