エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
翌週月曜日の、午前中。
お手洗いの洗面台で偶然桃子と顔を合わせた時、私は預かっていた名刺を返した。
「結婚前提の彼女がいるから、って……」
純平さんが言った通りの理由を告げたけど、後ろめたさが半端じゃない。
「そっか~」
桃子はハンドペーパーで手を拭いてから、すんなり名刺を受け取ってくれた。
「まあ、あんな極上物件だし、お手つきで当然よね」
腕組みをして、「うんうん」と納得している。
私は鏡越しに、その表情を窺った。
桃子はいつもと変わらずサバサバしていて、深くがっかりした様子はない。
『紹介して』というのも、わりと軽い気持ちだったのかな。
それなら、名刺を返されたことで、もう切り替えができてるかもしれない。
だけど、友達に嘘をついた罪悪感は、私の中でいつまでも消えない。
――やっぱり、言わなきゃ。
私は、身体の脇に垂らした手を、ギュッと握りしめた。
「あのね、桃子」
思い切って呼びかけ、身体ごと彼女に向き直る。
「ん?」
桃子は鏡の方に少し乗り出し、指先でちょんちょんと前髪を直しながら、視線だけ私に流した。
「じ、実はね。その……」
一度言葉を切り、ゴクッと唾を飲んで自分を後押しする。
お手洗いの洗面台で偶然桃子と顔を合わせた時、私は預かっていた名刺を返した。
「結婚前提の彼女がいるから、って……」
純平さんが言った通りの理由を告げたけど、後ろめたさが半端じゃない。
「そっか~」
桃子はハンドペーパーで手を拭いてから、すんなり名刺を受け取ってくれた。
「まあ、あんな極上物件だし、お手つきで当然よね」
腕組みをして、「うんうん」と納得している。
私は鏡越しに、その表情を窺った。
桃子はいつもと変わらずサバサバしていて、深くがっかりした様子はない。
『紹介して』というのも、わりと軽い気持ちだったのかな。
それなら、名刺を返されたことで、もう切り替えができてるかもしれない。
だけど、友達に嘘をついた罪悪感は、私の中でいつまでも消えない。
――やっぱり、言わなきゃ。
私は、身体の脇に垂らした手を、ギュッと握りしめた。
「あのね、桃子」
思い切って呼びかけ、身体ごと彼女に向き直る。
「ん?」
桃子は鏡の方に少し乗り出し、指先でちょんちょんと前髪を直しながら、視線だけ私に流した。
「じ、実はね。その……」
一度言葉を切り、ゴクッと唾を飲んで自分を後押しする。