エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「ご、ごめん……」


私が恐縮しきって声を尻すぼみにすると、桃子は「ふう」と声に出して息を吐いた。


「私、恋愛は早い者勝ちじゃないと思ってるし、歩に遠慮して諦めるわけじゃない。でも、彼が歩のこと大切にしてるのはわかる。負け戦はしない主義なの」


ふん、と鼻を鳴らしてから、ニッと口角を上げる。


「えっ、大切!? ……純平さんが、私を?」


予想もしない言葉にギョッとして、私は思わず目を剥いてしまった。
彼女は平然とした顔で、「うん」と頷く。


「彼も話合わせたし、彼氏じゃないんだろうけど。アフターファイブに車で迎えに来てくれるなんて、歩のこと大事だからに決まってるじゃない」


私と純平さんの今までの経緯を説明できないせいで、桃子は完全に誤解していると気付いた。


「あ。いや、えっと……それは違うの。この間迎えに来てくれたのは……」

「警察官僚ってのは、ほんとなんでしょ? 超多忙だと思うのに、デートしてくれるんだもの、絶対脈ありじゃない!」


桃子は胸を張って、やけに力強く言ってくれるけれど。


「……ありがとう。嬉しいけど、この間はデートなんかじゃないの」

「え?」

「私を大事にしてるわけでもない。私の絶対的片想いだよ」


私は唇を結んで、自分の足の爪先に目を落とした。
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