エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
蛇に睨まれた蛙のように怯える私を気遣ってくれたのか、新海さんが苦笑混じりに、凄む彼を宥めてくれたけれど……。
「まあ、覚醒剤取締法第14条第1項により、所持していただけでも罪を問われるのは事実です。簡易鑑定を行い陽性反応が出れば、第19条、第41条の2により、使用の疑いでも逮捕、起訴に至ります」
法律を盾に、さらりと恐ろしいことを言って退ける。
「き、起訴って。待って。待ってください……」
激しい混乱で、頭の中が真っ白になった。
それでも、なんとか説明しようと、必死に思考回路を働かせる。
「それは私の物じゃありません。ついさっき、東京駅で電車の乗り換え方法を教えてくれた女の人から頂いて……」
言いながら、はたと思い至る。
ってことは、この覚醒剤は、あの親切な女性の物?
いや、でもまさかそんな。
自分の思考を否定して、私は頭を抱え込んだ。
「そう。その女。大島照子、四十一歳。我々がマークし続けてきた、国際麻薬密売組織『ミッドナイト』の、日本人バイヤーだ」
田込さんが腕組みをして胸を反らすけど、もう理解が追いつかない。
「麻薬密売組織……バイヤー……」
「東南アジア諸国に幾つもの拠点を持つ巨大組織で、警視庁では、数年前からインターポールと情報を連携しています。昨年、国内でもミッドナイト絡みと見られる薬物が出回り始め、日本における売買ルートが確認されました」
「まあ、覚醒剤取締法第14条第1項により、所持していただけでも罪を問われるのは事実です。簡易鑑定を行い陽性反応が出れば、第19条、第41条の2により、使用の疑いでも逮捕、起訴に至ります」
法律を盾に、さらりと恐ろしいことを言って退ける。
「き、起訴って。待って。待ってください……」
激しい混乱で、頭の中が真っ白になった。
それでも、なんとか説明しようと、必死に思考回路を働かせる。
「それは私の物じゃありません。ついさっき、東京駅で電車の乗り換え方法を教えてくれた女の人から頂いて……」
言いながら、はたと思い至る。
ってことは、この覚醒剤は、あの親切な女性の物?
いや、でもまさかそんな。
自分の思考を否定して、私は頭を抱え込んだ。
「そう。その女。大島照子、四十一歳。我々がマークし続けてきた、国際麻薬密売組織『ミッドナイト』の、日本人バイヤーだ」
田込さんが腕組みをして胸を反らすけど、もう理解が追いつかない。
「麻薬密売組織……バイヤー……」
「東南アジア諸国に幾つもの拠点を持つ巨大組織で、警視庁では、数年前からインターポールと情報を連携しています。昨年、国内でもミッドナイト絡みと見られる薬物が出回り始め、日本における売買ルートが確認されました」