エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「なんだ? まだ同情してるのか?」
揶揄するみたいに口角を上げる彼に、私はごくんと唾を飲む。
このショックは、彼が言う同情だろうか?
心の中で自問自答して、俯いてかぶりを振った。
「いえ……。あの女性……大島さんは、犯罪者です」
「……ほう?」
たっぷり時間をかけた返答は意外だったのか、純平さんが興味を示したように眉尻を上げた。
「三週間も経てば、お前でも少しは擦れるか」
「擦れるなんて。私の個人的感情で、大島さんが犯した罪を擁護することはできません」
「結局、大島を〝いい人〟と思った気持ちは、まだ消えないということか」
私が揺れ動いているのを簡単に見透かして、呆れたように言い捨てる。
黙って逡巡する私の前で、ソファを軋ませて立ち上がった。
「お前は、甘い」
やや乱暴に顎を掴まれ、顔を上に向けられる。
反論の余地はなかったから、私はグッと唇を噛んだ。
純平さんは、こうなってもなお、彼女が温かいパワーをくれたと思いたい私を、蔑んだだけじゃない。
東京から離れた地元でなら、ひとりで出歩くことも可能じゃないか――そんな都合のいい甘えた思考回路を、バッサリと寸断したのだ。
揶揄するみたいに口角を上げる彼に、私はごくんと唾を飲む。
このショックは、彼が言う同情だろうか?
心の中で自問自答して、俯いてかぶりを振った。
「いえ……。あの女性……大島さんは、犯罪者です」
「……ほう?」
たっぷり時間をかけた返答は意外だったのか、純平さんが興味を示したように眉尻を上げた。
「三週間も経てば、お前でも少しは擦れるか」
「擦れるなんて。私の個人的感情で、大島さんが犯した罪を擁護することはできません」
「結局、大島を〝いい人〟と思った気持ちは、まだ消えないということか」
私が揺れ動いているのを簡単に見透かして、呆れたように言い捨てる。
黙って逡巡する私の前で、ソファを軋ませて立ち上がった。
「お前は、甘い」
やや乱暴に顎を掴まれ、顔を上に向けられる。
反論の余地はなかったから、私はグッと唇を噛んだ。
純平さんは、こうなってもなお、彼女が温かいパワーをくれたと思いたい私を、蔑んだだけじゃない。
東京から離れた地元でなら、ひとりで出歩くことも可能じゃないか――そんな都合のいい甘えた思考回路を、バッサリと寸断したのだ。