エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
大した威圧にもならなかっただろうけど、純平さんはひょいと肩を竦める。


「実家に帰るのは却下だ」


一瞬にして真顔に戻る彼に、私は何度も首を縦に振って応えた。


「わかりました。本当に、もう言いませ……」

「ひとりで家にいるのが辛いんだろ。一日くらいは休みにする。外に連れていってやるから、リサーチに行きたい所、考えておけ」

「は……って、えっ?」


返事をする途中で、私は聞き返した。
大きく目を見開き、耳を疑っていると、純平さんは「ふん」と鼻を鳴らして、上着を拾い上げる。


「それで不満なら、あとは知らん。俺もその方が助か……」

「行きます! リサーチ!」


私は、踵を返しかけていた彼の腕を、両腕で掴んだ。
そして。


「あの……これってデートでしょうか……?」


返事をした途端に思いついて、胸をドキドキさせながら上目遣いで探る。


「は?」


純平さんは、虚を衝かれた様子で瞬きをしてから、ムッと口をへの字に曲げた。


「なにを言う。コンビニに行くくらいで、デートとは言わない。この間の買い物と、大差ないだろう」

「そっか……そうですよね」


やけに胸を張って否定されて、私はしゅんと肩を落とした。
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