エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
開館時間ちょうどに辿り着いた水族館は、案の定激混みだった。
見渡す限り、子連れの家族やカップル、学生らしきグループ……人、人、人。
げんなりする俺とは真逆に、歩はまるで水を得た魚のように生き生きしていた。
イベントスケジュールの前に立ち、
「どうやったら、全部制覇できるかな」
GWだからか、通常より多く催されるショーに、貪欲な呟きを零す。
「イルカとアシカ、ペンギンは外せないですよね。え、カワウソ? 見たい!」
スケジュールボードに食いついて、「むー」と唸る彼女に呆れて、俺は自分のスマホでデジタルプログラムをダウンロードした。
「おい、人の邪魔だ。さっさと退け」
彼女の背を押し、ボードから離れる。
そして、プログラムを表示したスマホを差し出した。
「ありがとうございます! あ。イルカショーって、ナイトバージョンもあるんですね。第一回は、午後七時から……」
「お前、いったい何時間居座る気だ」
連れ歩くつもりでいたが、連れ回される羽目になりそうな予感に、俺は深い溜め息をついた。
「だって、こんなすごい水族館、隅々まで楽しまなきゃ、もったいないです」
歩はスマホに食い入っていて、前から歩いてきたカップルに気付かない。
見渡す限り、子連れの家族やカップル、学生らしきグループ……人、人、人。
げんなりする俺とは真逆に、歩はまるで水を得た魚のように生き生きしていた。
イベントスケジュールの前に立ち、
「どうやったら、全部制覇できるかな」
GWだからか、通常より多く催されるショーに、貪欲な呟きを零す。
「イルカとアシカ、ペンギンは外せないですよね。え、カワウソ? 見たい!」
スケジュールボードに食いついて、「むー」と唸る彼女に呆れて、俺は自分のスマホでデジタルプログラムをダウンロードした。
「おい、人の邪魔だ。さっさと退け」
彼女の背を押し、ボードから離れる。
そして、プログラムを表示したスマホを差し出した。
「ありがとうございます! あ。イルカショーって、ナイトバージョンもあるんですね。第一回は、午後七時から……」
「お前、いったい何時間居座る気だ」
連れ歩くつもりでいたが、連れ回される羽目になりそうな予感に、俺は深い溜め息をついた。
「だって、こんなすごい水族館、隅々まで楽しまなきゃ、もったいないです」
歩はスマホに食い入っていて、前から歩いてきたカップルに気付かない。