エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
俺は、彼女から目を離さずに、相槌を打った。
朝峰に言われずとも、その状況は俺の脳裏でリアルに再現できた。
歩が大島に近付いたあの時、この作倉なる男は、近くにいた。
自分も目撃されていると考え、歩の口封じに出るほど近くに。
大島が逮捕されて、自分にも捜査の手が回ることを恐れたのだろう。
組織から命じられてのことか、それとも保身目的か。
どちらにしろ、身勝手でくだらない理由で、彼女を怖がらせた――。
『瀬名さん。子猫ちゃんに確認させてもらえませんか。瀬名さんが撮影した動画の男を、あの時東京駅で見ていないか』
朝峰がそう言うのは当然の流れだが、俺は「いや」と躊躇した。
「歩は、あの男に見覚えがない様子だった。東京駅で作倉の近くに行っていたとしても、はっきり記憶していな……」
小声で返す途中で、俺はハッと息をのんだ。
歩はカウンターから離れ、空いていた席を見つけて歩いていった。
無事、トレーをテーブルに置いた彼女に、ふたりの男が近付いていく。
そのうちのひとりが、その肩に手をかけた。
「っ……朝峰、本人に確認して、折り返す!」
『え、瀬名さ……』
返事の途中で、電話を切った。
スマホをポケットに捻じ込みながら、猛然と走り出す。
朝峰に言われずとも、その状況は俺の脳裏でリアルに再現できた。
歩が大島に近付いたあの時、この作倉なる男は、近くにいた。
自分も目撃されていると考え、歩の口封じに出るほど近くに。
大島が逮捕されて、自分にも捜査の手が回ることを恐れたのだろう。
組織から命じられてのことか、それとも保身目的か。
どちらにしろ、身勝手でくだらない理由で、彼女を怖がらせた――。
『瀬名さん。子猫ちゃんに確認させてもらえませんか。瀬名さんが撮影した動画の男を、あの時東京駅で見ていないか』
朝峰がそう言うのは当然の流れだが、俺は「いや」と躊躇した。
「歩は、あの男に見覚えがない様子だった。東京駅で作倉の近くに行っていたとしても、はっきり記憶していな……」
小声で返す途中で、俺はハッと息をのんだ。
歩はカウンターから離れ、空いていた席を見つけて歩いていった。
無事、トレーをテーブルに置いた彼女に、ふたりの男が近付いていく。
そのうちのひとりが、その肩に手をかけた。
「っ……朝峰、本人に確認して、折り返す!」
『え、瀬名さ……』
返事の途中で、電話を切った。
スマホをポケットに捻じ込みながら、猛然と走り出す。