エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
私は腰を直角に折って、勢いよく頭を下げた。
「大袈裟だ」
そう言われて顔を上げると、彼は呆れたような目で私を横柄に見下ろしていた。
「あの、お礼をさせてください。お名前、教えていただけませ……」
「さっさと失せろ。礼はそれでいい」
一歩前に出て詰め寄った私を、容赦ないひと言でビシッと寸断して、再び踵を返してしまう。
「う、失せ……?」
さすがに私も、一瞬ポカンとしてしまった。
だけど、すぐに気を取り直し……。
「それじゃ、あの……よかったら、これ皆さんで召し上がってください。私の地元の銘菓なんですけど……」
異動先への挨拶に配るつもりで買ってきたお菓子があるのを思い出し、ボストンバッグを右腕にかけ、ファスナーを開けた。
一番下に敷いてあるお菓子の箱を取り出そうと、ゴソゴソと漁り始めると、
「おい。こんなところで、荷物をぶちまけるな」
低い声で鋭く言われ、同時に左腕を掴み上げられた。
「え?」
思わず、彼を振り仰ぐ。
バチッと目が合った途端、彼は私の腕を放し、苦々しい顔で額に手を当て――。
「悪用したら、社会的に抹殺する」
夢でも警察が言ったとは思えない、肝が縮み上がるような物騒なひと言と共に、上着の内ポケットから名刺入れ取り出し、一枚摘まんだ。
それを、私の額にベシッと貼りつける。
「大袈裟だ」
そう言われて顔を上げると、彼は呆れたような目で私を横柄に見下ろしていた。
「あの、お礼をさせてください。お名前、教えていただけませ……」
「さっさと失せろ。礼はそれでいい」
一歩前に出て詰め寄った私を、容赦ないひと言でビシッと寸断して、再び踵を返してしまう。
「う、失せ……?」
さすがに私も、一瞬ポカンとしてしまった。
だけど、すぐに気を取り直し……。
「それじゃ、あの……よかったら、これ皆さんで召し上がってください。私の地元の銘菓なんですけど……」
異動先への挨拶に配るつもりで買ってきたお菓子があるのを思い出し、ボストンバッグを右腕にかけ、ファスナーを開けた。
一番下に敷いてあるお菓子の箱を取り出そうと、ゴソゴソと漁り始めると、
「おい。こんなところで、荷物をぶちまけるな」
低い声で鋭く言われ、同時に左腕を掴み上げられた。
「え?」
思わず、彼を振り仰ぐ。
バチッと目が合った途端、彼は私の腕を放し、苦々しい顔で額に手を当て――。
「悪用したら、社会的に抹殺する」
夢でも警察が言ったとは思えない、肝が縮み上がるような物騒なひと言と共に、上着の内ポケットから名刺入れ取り出し、一枚摘まんだ。
それを、私の額にベシッと貼りつける。