エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「私、先に休みますね。お休みなさい」
この空気感に耐えられず、私は彼に挨拶をして、その横を通り過ぎようとした。
ところが。
「待て」
純平さんが、私の肘を引いて止める。
「え?」
彼の行動に戸惑い、振り返って仰ぎ見た。
純平さんは、ここでもらしくないほど、落ち着きなく瞳を揺らし……。
「……昨夜、すまなかった」
「は?」
歯切れの悪い声は彼自身の手の平に阻まれ、さらに聞き取りづらかったけど、聞こえなかったわけじゃない。
「朝峰から聞いた。昨夜の菓子は、俺の好みに合うかもしれないと考えて、あんなに大量に買い込んだのだと」
でも、純平さんは、律儀にやや早口で話し始める。
「なのに、お前が可哀想だと、詰られた。……すまなかった」
「お菓子……そっち、ですか」
そう挟んだ私に、「え?」と短く聞き返した。
そんなことじゃない。
そんなことで、傷ついたりしない……。
なにか、胸にせり上がってくるものをグッと堪え、私は目を伏せてかぶりを振った。
「私の方こそ、大声出したりしてすみませんでした。お菓子のことは、私が勝手にしたことです。だから、純平さんも気にしないでください」
どうしようもなくやるせない思いに駆られ、彼から目を逸らしたまま続けた。
この空気感に耐えられず、私は彼に挨拶をして、その横を通り過ぎようとした。
ところが。
「待て」
純平さんが、私の肘を引いて止める。
「え?」
彼の行動に戸惑い、振り返って仰ぎ見た。
純平さんは、ここでもらしくないほど、落ち着きなく瞳を揺らし……。
「……昨夜、すまなかった」
「は?」
歯切れの悪い声は彼自身の手の平に阻まれ、さらに聞き取りづらかったけど、聞こえなかったわけじゃない。
「朝峰から聞いた。昨夜の菓子は、俺の好みに合うかもしれないと考えて、あんなに大量に買い込んだのだと」
でも、純平さんは、律儀にやや早口で話し始める。
「なのに、お前が可哀想だと、詰られた。……すまなかった」
「お菓子……そっち、ですか」
そう挟んだ私に、「え?」と短く聞き返した。
そんなことじゃない。
そんなことで、傷ついたりしない……。
なにか、胸にせり上がってくるものをグッと堪え、私は目を伏せてかぶりを振った。
「私の方こそ、大声出したりしてすみませんでした。お菓子のことは、私が勝手にしたことです。だから、純平さんも気にしないでください」
どうしようもなくやるせない思いに駆られ、彼から目を逸らしたまま続けた。