エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
***
純平さんの家を出て、〝自由〟を取り戻してから三週間ほど――。
「では、今日の出会いを祝して。かんぱ~い!」
テーブルの真ん中の席で男性が立ち上がり、ビールジョッキを高々と掲げて乾杯の音頭を取る。
私は、引き気味にジョッキを持ち上げた。
「かんぱ~い……」
地味に呼応して、口元に運ぶ。
一口目は、ほとんど泡しか入って来ない。
口を離して目線を上げると、同じテーブルを囲んだ人たちは、三分の一ほど飲み干し、ご満悦で「ふーっ」と息をついていた。
遅ればせながら、私もジョッキをテーブルに戻す。
――何度こういう席に着いても、みんなのペースに乗り切れない。
私は助けを求めて、向かいの斜め前の席にいる桃子に、目を向けた。
彼女も私に気付いたものの、首を傾げてふっと微笑むだけ。
「…………」
私は、へらっと引き攣った笑みを返し、俯いた。
桃子には隠し通す自信がなく、失恋を報告していた。
すると彼女は、残念そうに同情を示してくれた後……。
『男を忘れるには、次の男。合コン解禁! 歩、瀬名さん以上の男を探すわよ!』
純平さんの家を出て、〝自由〟を取り戻してから三週間ほど――。
「では、今日の出会いを祝して。かんぱ~い!」
テーブルの真ん中の席で男性が立ち上がり、ビールジョッキを高々と掲げて乾杯の音頭を取る。
私は、引き気味にジョッキを持ち上げた。
「かんぱ~い……」
地味に呼応して、口元に運ぶ。
一口目は、ほとんど泡しか入って来ない。
口を離して目線を上げると、同じテーブルを囲んだ人たちは、三分の一ほど飲み干し、ご満悦で「ふーっ」と息をついていた。
遅ればせながら、私もジョッキをテーブルに戻す。
――何度こういう席に着いても、みんなのペースに乗り切れない。
私は助けを求めて、向かいの斜め前の席にいる桃子に、目を向けた。
彼女も私に気付いたものの、首を傾げてふっと微笑むだけ。
「…………」
私は、へらっと引き攣った笑みを返し、俯いた。
桃子には隠し通す自信がなく、失恋を報告していた。
すると彼女は、残念そうに同情を示してくれた後……。
『男を忘れるには、次の男。合コン解禁! 歩、瀬名さん以上の男を探すわよ!』