エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「ごめんね、せっかく誘ってくれてるのに」


二次会は遠慮して帰途に着いた私に、桃子も付き合ってくれた。


「ううん。今日は私も、ちょっと疲れたから」


桃子はいつもと変わらずサラッと言って、軽く両腕を上げて「んー」と伸びをする。
そして、黙り込む私をチラッと見遣り、


「やっぱり、瀬名さんがいい?」


静かに問いかけてくる。
私は、背の高い彼女を見上げた。


「まあ、あんなパーフェクトな男、一般レベルじゃなかなかお目にかかれないもんね」


私の返事を待たずに、理解を示してくれる彼女にホッとして、自分の靴の爪先に目を落とす。
そして、


「……はあ」


肩を落として、息を吐いた。
桃子は、なかなかテンションの上がらない私を、どうしたもんかという顔で見ていたけれど。


「あ、ねえ。前にランチ合コンで会った商社マン、覚えてる?」


突如声を弾ませ、私の肩を軽く叩いた。


「え?」

「私あの時、ひとりだけ連絡先交換したんだけどね。夏に、お互い何人か誘って、バーベキューでもしないかって話になってて」


彼女の言う、商社マンとの合コンの記憶を、手繰ってみる。
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