エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
確か、二度目に参加したランチ合コンだった。
相手の会社も日本橋にあって、場所は会社からすぐ近くの商業施設にある、イタリアンレストランだった気がする。


「あの時は、歩も結構楽しそうに話してたから、印象悪くないだろうし。どう?」


まだ、『東京のキラキラOL!』と意気込んでいられた時のことだ。
楽しもうと思って参加したし、あの時の人たちの印象は確かに悪くはないけれど……。


「歩、週末引きこもってるんでしょ? 遠出して、お日様の下で健全なバーベキュー。いい気分転換になるんじゃないかな」


いつになく熱っぽく誘ってくれる彼女に、私の心も少しだけポジティブに傾いた。


「うん……ちょっと考えてもいい?」


ぎこちなく、ニコッと笑ってみせる。


「もちろん。いい返事、待ってるね」


そんな話をしているうちに、東京駅に着いた。
桃子とは、ここから別方向だ。
駅構内に入ってすぐ、『また来週ね』と手を振って、私は自分が乗る電車のホームに上った。


週末を迎える金曜日、午後十時のホームは、だいぶ混んでいる。
線路に入ってくる電車も、すでに乗客でいっぱい。
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