エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
いつもクールで落ち着き払った彼の、らしくない取り乱し様が、私を本気で心配してくれた証の気がして、胸にグッとくる。
込み上げるものを感じて、言葉が詰まる。
泣きそうになるのを必死に堪えて、何度も頷いて応えるのが精一杯だった。


「……よかった……」


純平さんは吐息混じりに呟き、ガクッと脱力した。


「お前を見つけるまで、生きた心地がしなかった……」


地面に座り込んで、大きく深い息を吐く。
うなだれて、ガシガシと頭を掻くのも、私の無事を確認して、心底から安堵しているのだとわかる。
どうしようもなく、きゅんとした。


なんかもう――。
偽装花嫁でも、ペットでもおもちゃでもなんでもいい。
それでいいから、私は純平さんのそばにいたい。


「純平さ、私」


昂る感情で、声が喉に引っかかる。
それでも、言わなきゃ。
純平さんがそばにいてくれる今、言わないと。
両手で、彼の胸元のシャツを握りしめた。


「私っ、純平さんのこと……」


気を逸らせて伝えようとした想いは、最後まで声にならなかった。
純平さんが私の頭の後ろに手を回し、強く自分の方に引いて、唇を塞いだせいだ。


「! っ、ん」


驚きで目を瞠る私に構わず、長い睫毛を伏せ、いつになく急いた様子で私の唇を貪ってくる。


「ふあっ……純平さ……」


久しぶりの艶かしいキスで、息ができない。
< 222 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop