エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
聞く耳を持たずに声を詰まらせる私に、きまり悪そうにガシガシと頭を掻いた。
「酷い、酷い」と呪文みたいに繰り返す私を、鬱陶しそうに見遣っていたけれど。


「……嫁に来い」


ものすごく不本意そうな顔で、私の頬を手の甲でくすぐりながら、言い直した。私が思わずひくっと喉を鳴らすと、


「本当に、結婚しよう。……これでいいだろ」


ちょっとふて腐れたように言って、プイと顔を背けてしまう。
不機嫌ではなく、多分相当照れ臭いだけだというのは、彼の耳が真っ赤だったから、私でも見抜くことができた。


猛烈に胸がきゅんとして、鼓動は一気に加速していく。
『はいっ!』と元気に返事をしようとして、喉まで出かかった言葉をゴクッとのみ込んだ。


「……おい?」


言わせておいて黙り込む私が不服だったのか、純平さんがこちらに視線を戻し、不審げに呼びかけてくる。


「あの……先に確認しておきたくて。純平さんは、そう望んでくれてますか……?」

「え?」


質問の意図を図るように、眉根を寄せる。


「だって。あの時私が、純平さんに電話したりしなかったら」

「?」

「私に巻き込まれなかったら、こんな形で結婚なんて言わずに済んだんじゃ……」
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