エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
しかし、歩を盾にされたあの瞬間の、腸が煮えくり返るほどの烈火の如き怒りを、俺は恐らく一生忘れられないだろう。


昨夜の一連の事件により、作倉を有罪に導くことは可能だ。
だが、数年の実刑判決では足りない。
俺にとっては、歩に対するあの暴言だけで、極刑に値する。
絶対不可能だと承知していても、身内にいる裁判官を利用して、永久に刑務所にぶち込んでやりたいくらいだ。


「まあ……昨夜、瀬名さんは退勤後、菅野さんが連れ去られそうになっている場に、たまたま出くわしただけ。取調室で暴れたくらいじゃ、キャリアにも影響ないですけどね」


〝退勤後〟と〝たまたま〟にやけにアクセントを置いて、飄々と語る彼を視界の端に映し、俺は無言で、ふっと吐息を漏らした。
朝峰が、顔をまっすぐ前に向けたまま、視線だけ俺に流してくる。


「……で。菅野さんは、無事取り戻せたんですか?」

「昨夜、彼女から聴取したことは、電話で伝えただろう」

「そういう意味じゃなくて」


俺のすげない返事を聞いて、クスッと小さく笑った。
そして。


「彼女の身代わりに、猫を愛玩するほど、ロスってたんでしょう?」


俺はわずかに首を捻り、彼の方に顔を向けた。
微かに口角を上げ、


「俺とお前は、現在警視庁庁舎内で業務中だ。業務に関係のない質問に対しては、一切返答を拒否する」
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