エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
今日のお昼に純平さんに送った、【今夜のお夕食は、鯖の味噌煮にします】というメッセージに返事はない。
今日の、というか……私からの吹き出しが、縦に並んでいる。


最初にこの家の冷蔵庫を開けた時の衝撃もあり、彼の食生活が心配だった。
忙しい旦那様の健康、〝妻〟の私が配慮しないと!
初日に作ったコロッケもどきを『美味い』と食べてくれたから、食事を用意するのは迷惑がられないはず。
でも、純平さんの帰宅は毎日遅く、朝も私よりずっと早い。
家で食事をとる人じゃないから、作って置いておいても、気付いてもらえない。


だから私は、毎日献立を報告することにした。
帰ってきてメッセージを思い出したら、食べてくれるかもしれない。
いや、食べるために、早く帰ろうと思ってくれるかもしれない――。
でも、既読表示はその日のうちに付くのに、今日まで毎日、清々しいほどの既読スルーに遭っている。


「でも、先週の土曜日は早く帰ってきたし、日曜日は休みだったし」


しゅんと沈む気持ちを奮い立たせようとして、私は声に出して呟いた。
家でひとりぼっちなのは、本来のひとり暮らしとほとんど変わらない。
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