エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
突き放すような言い方に傷ついて、私はソファに手を突き、身を乗り出した。
「……でも」
胸をよぎった微かな疑問が、口を突いて出てくる。
「今のままで、純平さんは十分すごい人です。なのに、なんのために、もっと上に行きたいんですか」
ためらいながら、つっかえつっかえ質問したら、彼の喉仏がゴクッと上下した。
私が黙ると、沈黙が走る。
そのせいで、立ち入ったことを聞いてしまったと気付く。
「ご、ごめんなさい。そうですよね。仕事するからには、当たり前の向上心で……」
「歩」
私の言葉を、純平さんが阻んだ。
その薄い唇が私の名前を紡いだことにドキッとしている間に、ソファに突いた腕を強く引っ張られ……。
「きゃっ……」
バランスを崩し、短く声をあげる私の頭に、彼がもう片方の腕を回した。
下から抱き寄せる力に抗えず、
「っ、んっ……」
ほとんどぶつかるみたいに、唇が重なった。
先週、嫌ってほど刻まれた、熱い温もりが全身に蘇る。
この体温の中毒的な甘さを肌が覚えているから、私の心臓はドクッと跳ね上がった。
慌てて身体を起こそうとしても、彼は酔っ払っているわりに力強く、私がもがけばもがくほど、その腕に力がこもる。
「……でも」
胸をよぎった微かな疑問が、口を突いて出てくる。
「今のままで、純平さんは十分すごい人です。なのに、なんのために、もっと上に行きたいんですか」
ためらいながら、つっかえつっかえ質問したら、彼の喉仏がゴクッと上下した。
私が黙ると、沈黙が走る。
そのせいで、立ち入ったことを聞いてしまったと気付く。
「ご、ごめんなさい。そうですよね。仕事するからには、当たり前の向上心で……」
「歩」
私の言葉を、純平さんが阻んだ。
その薄い唇が私の名前を紡いだことにドキッとしている間に、ソファに突いた腕を強く引っ張られ……。
「きゃっ……」
バランスを崩し、短く声をあげる私の頭に、彼がもう片方の腕を回した。
下から抱き寄せる力に抗えず、
「っ、んっ……」
ほとんどぶつかるみたいに、唇が重なった。
先週、嫌ってほど刻まれた、熱い温もりが全身に蘇る。
この体温の中毒的な甘さを肌が覚えているから、私の心臓はドクッと跳ね上がった。
慌てて身体を起こそうとしても、彼は酔っ払っているわりに力強く、私がもがけばもがくほど、その腕に力がこもる。