エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
固く抱きしめられてしまい、逃げられない。


「ふ、うん……」


薄く開いた唇から侵入してきた彼の舌に、私のそれは搦め捕られる。
一週間ぶりのキスは、強いお酒の味。
甘く深く染み入ってきて、脳神経が焼け切れそうにビリビリした。
彼の理性を蝕む酔いに、私の意識も冒される。
頭がボーッとして、目がとろんと閉じてしまう――。
すると、次の瞬間。


「え? ふあっ……」


私は、ソファに引っ張り上げられた。
一瞬にして、横たわっていた純平さんと入れ替わり、天井を仰ぐ体勢になっている。


「あ……」


天井の明かりを背に浴びた彼が、私に影を落とす。
下から見上げる純平さんは、先週の比じゃない、壮絶な色気を放っている。
桜色に染まった目元に情欲を滾らせ、酔っていてもなお獰猛な光が漲る瞳で、私をまっすぐに射貫く。


視線が交差したのは、ほんの少しの間。
純平さんが、私の首筋に顔を埋めた。


「あ、っ……」


頸動脈の付近を彼の唇が這う感触に、思わず声が漏れる。
男の人にしては細く長い指が、パジャマの襟に引っ掛けられた。
関節を曲げてクイと下げられ、鎖骨が露わになる。
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