エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
半分悲鳴みたいな声で感激されて、私は口の端をヒクッと引き攣らせた。
極上……には違いない。
その実態は、悪魔的に意地悪で、夜は信じられないくらいエッチですけどねー……。
桃子の中で形作られた〝最高のお兄さん〟の化けの皮を剥がしたい、狂暴な衝動を堪える。


「ね、名前。お兄さんの名前教えて? それと、よかったら連絡くださいって、私の名刺渡してくれない?」


バッグからいそいそと名刺入れを取り出す彼女に、肌がチリチリした。


「あー……うん」


固辞するわけにもいかず、私は彼女の名刺を受け取った。


「あ。やだ、こんな時間。早く食べないと」


そこでやっと時間に気付いたのか、桃子が慌てた様子でやっとキーマカレーを食べ始める。
私は手を止め、名刺に目を落とした。


純平さんに渡したら、どんな反応をするだろう――。
私は、上目遣いで、桃子を探った。


彼女は私と違って、大人っぽくて美人だ。
背も高いし、純平さんの隣に並んでも多分お似合い。
私だけじゃなく、十人の内九人は同意するだろう。


〝偽装〟でも妻としては、面白くない――。
こういう、禍々しい嫌な気持ちを、嫉妬と呼ぶのだろうか。
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